前立腺はくるみ状の実質性腺臓器で、内部を尿道、射精管が通っていて、腺は内腺と外腺に分けられます。
前立腺肥大はいわゆる腫瘍ではなく腺腫様過形成とされていて、加齢とともに増加する普遍的な疾患です。男性ホルモンの作用で大きくなります。
50歳代以上の男性にみられることが多く、尿が出にくくなったり(閉塞症状)、尿が近くなったり(刺激症状)、尿意で夜間に目を覚ますことが多くなったりするのが特徴です。
前立腺肥大症の診断は自覚所見は国際前立腺症状スコア(IPSS)を使用して点数化し、他覚所見は超音波検査や直腸診、レントゲン検査等で診断します。
前立腺肥大症は進行度により、三段階に分けられます。第I期(刺激症状期)では、排尿困難を中心とした種々の刺激症状がありますが、残尿はありません。薬物療法の適応です。第II期(残尿発生期)では、残尿が発生します。残尿が30ミリリットル以上であればこの病期であり、一度でも尿閉の既往があれば、現在いかに残尿が少なくても、第II期に属し、手術療法の適応になります。第III期(膀胱拡張期)は、腎機能障害が認められます。この病期の患者には留置カテーテルを設置して排尿し、腎機能の回復をはかり、手術療法を行います。
薬物療法はα1ブロッカーと呼ばれる薬剤が中心となります。これは前立腺部尿道の緊張を和らげて尿の通りを良くする薬です。薬剤の調節を行っても残尿が多ければ手術療法の適応となります。
水分を制限せずたくさん摂ることと、力まずに排尿することを心がけてください。